偏食を重ねる日々

ゲーマーが本やら物語やらゲームやらの感想を綴るブログ

『よるのないくに』『よるのないくに2 ~新月の花嫁~』 感想 ※ややネタバレあり

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はじめに

どんなお話か説明している部分がありますが、これはあくまで『私はそう感じたという感想』であり、実際には異なる可能性があることはご了承ください。

ネタバレあります。

 

~総括~

2作品ともかなり好きなタイプの物語。

ゲームとしても、イデアやデザイン自体は光ることが多い。

惜しむべくは、イベントのクオリティ(見栄え)をはじめとする、単純な技術力不足だろうか・・・。

 

よるくに1:NPCを攻撃のツナギに使うことで、チェイン(連続攻撃回数)を積み上げ、無敵感のある変身につなげる無双はなかなか面白い

惜しむらくは、回復をはじめとする一部の要素がバランスブレイカーとなっていること。

 

よるくに2:NPCと同時に攻撃することでゲージを稼ぎ、強力な必殺技につなげるリリィ・ルーエンハイドをはじめとするシステムは面白い

しかし、敵が柔らかすぎ&敵の火力が低すぎて機能していない

2週目から解禁される難易度エクストリームでは改善される

 

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・物語としての『よるくに1』
ややネタバレですが、ある程度ぼかしてあります。

 

「世界か友か、運命は私が決める」
というキャッチコピーから、世界と個人・理想と現実の狭間で葛藤する……ような話を連想しがちだが、全く異なる。

天秤にかけられている『世界』は『よるくに1』では、ほぼ話に絡んでこない。

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世界が滅びそうになっていることは「機密中の機密」なので、「お前が犠牲にならなければ、世界が滅びるんだぞ!」と世間から非難されることはない。
世界が天秤にかけられていることを知っている、ごく少数の仲間たちも「世界が犠牲になってもいいんじゃね?寿命でしょ。」とすごく寛大だ。
つまり、『よるくに1』は、大多数か少数かで葛藤する話ではないのだ。

では、アーナスが対立する相手は何なのか?というと、ヒロインであるリュリューティスその人である。

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リュリューティスは、世界(ひいてはアーナス)のために犠牲になる覚悟を既に決めている。
一方、アーナスは、世界が滅びるのは止めなくてはと思っているものの、リュリューティスには犠牲になってほしくない。

二人は対立関係にあるのだ。
しかし、対立こそしているものの、かなり仲が良いので、「もう戦うことでしかわかりあえない!」という事態まではいかない。
起こることは、「もう一度あの件のこと話し合わない?」「それより残った時間を大切に過ごしたいな」というすれ違いだ。
、相手の事情を考えたり、共感を経て、決着にいた・・・らない。
決着に至らない話である。
しかし、これは別にいいのかもしれない。
すれ違っていた二人が共感に至った時点で、ほぼゴールなのだろう。
その後、自分や相手の思想を変えるとか、そういう必要はないのだ。

二人の関係性に魅力を感じられる人にとっては、たまらない話だろう。

 


・ゲームとしての『よるくに1』

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分類するのならば、無双系のアクションゲームになる。
特徴的なのは、従魔(セルヴァン)のシステムぐらいで、他はアクションゲームでよくあるシステムを揃えた形だ。

難易度が低く、攻撃ボタンを連打しているだけでクリアできる。
理由は、主人公側がバランスブレイカーを有してる事にある。
まず筆頭としてあげられるのは、回復従魔『ラウネー』

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ラウネーは、最序盤に加入する従魔で、ほぼ唯一の回復役なのだが、まあ強い
ラウネーがスキルを1回使うだけでアーナスがほぼ全快する。
MPが切れたら回復できない・・・と思いきや、複数デッキを持てるので、二人目のラウネーをデッキ2に入れておけば問題ない。
そもそも一人でもMPが足りないということは少ない。
他にも『変身』や、装備アイテムによるMP回復ブースト+必殺技連打など、バランスブレイカー要素はいくつかある。
どんなプレイをしていても、大抵どれか1つにはタッチするため、かなりのヌルゲーになる。
個人的にはラウネーがヒーラーでなければ、かなり良い難易度の作品になったのでは?と思ってはいる。

難易度が息をしていない関係であまり目立たないのだが、褒める部分もけっこうある。
たとえば、ボス戦などで存在する『可視化された攻撃範囲』は、かなりグッドだ。
ボスの攻撃前に攻撃範囲などが表示される、という単純なシステムなのだが、採用しているアクションゲームは結構少ない。
(こういった裏まで見せるシステムは、ちょっとした誤魔化しまで効かなくなるので、採用し辛い)

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他にも、変身の割り切った強さとゲージを溜める過程の良さ、従魔たちによるコンボ、一瞬で切り替えられそれぞれ用途が違う武器(特にハンマー)など、秀逸な部分は多い。
気になる人は、ラウネーや装備品を縛ると、これらの良さが感じられるかもしれない。
また、これは少し客観的な判断であって、ラウネー自体は好きです。

 

 

 

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・物語としての『よるくに2』

正直ネタバレなので、ガチ初見でやりたい人は避けてください。
また、アーナスが登場しますが、『よるくに1』と『よるくに2』はパラレルです。

 

『よるくに2』は、設定や大筋こそ『よるくに1』とほぼ同じなのだが、雰囲気は大きく異なる。
『よるくに2』では『世界も友も既に終わっている』からである。

『よるくに2』では、友はすぐ生贄になり、世界はすぐ滅びる。
『よるくに1』とは、実は前提から話が違う。

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『よるくに2』は、『滅びゆく世界で、誰と過ごして、どう終わるか』という話なのだ。
(開発が難航したせいか、メイン3人以外は、後半ほぼ話に絡んでこないけど)

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この『もう終わっている』という雰囲気が、BGMや荒廃したステージも相まって『よるくに2』では強く感じられる。
(ストーリー的には、最後の最後まで『終わっている』ことは、伏せられているが)
そういった物語が好きな人にとっては、なかなかたまらない話だ。

 

・番外編『よるのないくに2~日々花盛り~』

スピンオフコミック。

2の前日談であり、幼馴染3人による学園生活を描いた作品。

 ストーリーの大筋としては、見なくても全く問題ないのだが、この作品はキャラ崩壊が異様なほどない。

要するに出来が良いのである。

『よるくに2』では既に仲が良い段階で話が始まるので、そういった部分を補完する意味でもかなり強い作品だ。

本編が気に入った人はぜひ。そうでない人は、和やか百合作品として楽しめるかもしれませ・・・いや、俺に百合は語れない。知らないので。

 

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・ゲームとしての『よるくに2』
同じく無双系のアクションゲームだが、システムがかなり変更された。

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相方NPCであるリリィを意識したシステムがかなり増え、他は削られている。
リリィが絡んだ新システムは中々出来が良い。

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リリィとほぼ同時攻撃すると各種ゲージが溜まる、ダブルアタックは個人的にかなり秀逸なシステムだ。

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さらに、今作は敵がそこそこ強くなっているうえ、それぞれ特徴的な攻撃手段を持っている。
バランスブレイカーなシステムがほぼ消えたこともあって、戦闘は、かなりの歯ごたえだ。
ボスの攻撃範囲表示やジャストガードの撤廃など、残念な面もある。
しかし、そこそこの難易度で楽しみたい人にとっては、楽しい出来だろう。

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そう、難易度Extremeならね。

上記は、難易度ノーマルのストーリー後半か、1週クリアで解禁される難易度エクストリームに限った話である。
それ以外の難易度は、敵のHPと火力が低すぎて、ダブルアタック・武器チェンジ・従魔の特殊技など、魅力的なシステムが息をする前に敵が全滅するのだ。

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逆にいえば、ストーリ後半や難易度エクストリームでは、敵のHP・火力が十分すぎるほど上昇し、システムが息を吹き返す。

(余談だが、DLC『お菓子の国のエトランゼ』では、かなり『わかっている』敵の配置がなされている。歯ごたえが欲しい人はぜひ。)

 

 

光ることが多くあり、1作目の従魔システム・2作目のリリィなど、独自のウリも強かった『よるのないくに』シリーズ。

個人的には満足いく作品で、発売当初から、未だにプレイを続けています。

問題点もあり、しかもイベントの見栄えのような分かり易く目立つ部分が多いため、人によっては全く受け付けないかもしれません。

シナリオも、かなり狭く尖っています(好きだけど)。

でも、よるのないくに3が出たら買います待ってます

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(このように芸術性のない『3』の組み合わせ方で、本当に申し訳ありません)