偏食を重ねる日々

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コードリアライズ ~創世の姫君~ 全ルート感想 ※ネタバレ有

コード・リアライズ~創世の姫君~ 感想

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はじめに

各ルートがどんなお話か説明している部分がありますが、これはあくまで『私はそう感じたという感想』であり、実際には異なる可能性があることはご了承ください。

一応男性が書いた女性向け恋愛アドベンチャーゲームの感想なので、そういう事が気になる人はブラウザバックをお勧めします。

ネタバレあります

 

~総括~
感動しましたDL版も購入して白銀の奇跡も買います。
キャラグッズはフランとサンあたりがあればお守りとして欲しいかな・・・。

 

 


共通ルート

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主人公は、触れるすべてを溶かす猛毒の少女(カルディア)。
共通ルートは、カルディアが各勢力の面々と出会い、交流や事件を繰り返すうちに出生の秘密を知るといったお話。
共通ルートの内容が各ルートに深く絡んでくるので、けっこう重要なルート。
特に『主人公が仲間と大切に想える時間を過ごす』という部類の出来事はかなり重要で、ここの内容を忘れてしまうと『お前いま何のために行動してるの?』みたいになりやすいように感じます。
個人的にこういった積み上げをきちんとやってくれるのは、話に入り込み易くてありがたいです。

 

 

 

 


フランルート

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優しくて穏やかで無害そうなヴィクター・フランケンシュタンのルート。
自分の開発した毒で大勢を犠牲者を出してしまった天才錬金術師フラン。彼は逃亡生活を続けているうちに、自分の研究から生まれたホムンクルスである主人公(カルディア)と出会う。
フランは罪滅ぼしのため、カルディアの毒を消そうと尽力する…というのがフランルート。

共通ルートとの繋がりが恵まれているルート

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最初に軟派な話をしてしまうと、フランくんは安心感がすごいですね・・・。
優しくて穏やかで、しっかりもしている。悪意ある相手と直接ぶつかった時の対応は毅然。
窮地にたたされても、諦めずに勝ちを目指せるハイパーイケメン。
彼は道徳観念がしっかりしてるので、たいていの場合は『正しい』んですよね。

少なくとも、彼は自分のことをそう思ってるし、そんな自分を誇りに思っている。

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そんな彼でも失敗することはあるわけで、彼が本来なら絶対望まないような悲惨な事態を引き起こしてしまうことがある。
そんなとき彼は、誰から見ても『罪人』になるわけだけど、フランはそう思われることに対して非常に弱いんですね。
なまじ道徳観念がしっかりしている分、羞恥だとか罪悪感だとかをモロに感じてしまう。自分は正しい存在だというプライドとかアイデンティティーがズタボロになって、ショックを受けて閉じ籠る。
このルートでは、その弱点を彼が克服する・・・
と言いたいところなんですが、主人公であるカルディアがこの点は都合よく解消します。
カルディアはフランの研究をもとに作られた存在であるため、『カルディアが幸せになる=フランの研究によって救われた存在がいる』ことになります。
つまりカルディアが幸せになれば、彼の中で自分は、単純に悪いヤツではなくなるわけです。まだマシなヤツぐらいにはなる。
そして彼は、『フランが罪人でも構わない』と伝えてくれるカルディアに応える形で、まだマシなヤツ程度でいることを少し受け入れられるようになります。

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そんなこんなで、彼自身はあまり変わらず、状況が都合よく変わっていくわけですが、この点は無理がなくて好ましく感じました。
フランが弱点を克服するということは、彼の道徳観念や優しさといった利点もかなぐり捨てたということでもあり、ある種の人格崩壊です。

弱点を無理くり解消した彼は、もうフランと呼べない存在なんじゃないかなぁと思わなくもない。

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このルートは、主人公であるカルディアさんの存在感も強いですね。
カルディアには、過去に自分の毒で恩人を殺してしまった・・・という過去があります。
彼女はその状況を引き起こした全てに対して内心キレているんだけど、同時に自分のことも『毒の怪物なのに人と触れ合おうとした罪深いヤツ』と責めている。
彼女自身は、自分の問題を解決して幸せになることを強く求めていて、そのために行動しているんですが、
『怪物が性懲りもなく幸せを求めて、また大切な人を殺していいんだろうか?』
という引っかかりがあって、チャンスがあると自分のことを投げだしそうになるんですね。
ただ状況が良くて。大抵の場合、彼女が自分を投げだすことは、彼女を目的の手がかりとしている大切な仲間の迷惑になります。
彼女は仲間に迷惑をかけたくないので、ひとまず自分の不安や問題は保留にするんですね。
それでも状況が許せば自分を投げ出してしまうだろうな、という感じは変わらず。フランルートでは問題が悪化し、悲劇を起こす可能性を抱えながら生きるか、大人しく死ぬか最終盤まで悩みます。

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結局カルディアは、フランと自分の幸せのために、危うくも希望のある道を生きることを決意します。
自分一人ではなく、二人の幸せのためなら、半歩だけ踏み出せる。そんなお話だったのではないでしょうか。

 二人の関係が自然で、素晴らしく心地よいルートでした。

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活躍も話への絡みも多々あるので、ある意味カルディアルートともいえるかも。

ただ共通ルートから地続きの話が多いので、内容を忘れてると大変。
カルディアさんは、キレてて前向きで、良い方向にも悪い方向にも偏見が無くて、目的のために自分から行動する良い主人公ですね。
不快なことは不快だとはっきり言うし、理不尽なことに対しては容赦なくキレる。力を振るうことに躊躇いがなければ酔いもない。
純粋にかっこいいというか、尊敬しますね。

 

 

 

 


ヴァンルート

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怖いけど優しい復讐鬼ヴァン・ヘルシングのルート。
ヴァンは『家族を人質に脅迫されて、親しかった吸血鬼たちを虐殺したが、結局家族を殺されてしまった』ため、犯人に復讐しようとしている人。

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自分は犯人を憎んでいるが、吸血鬼からは仇として憎まれている。
『復讐する被害者だが、復讐される加害者でもある』という宙ぶらりんな立場にいる。
ヴァンは、復讐をする人間の気持ちがすごくよくわかるんですね。理不尽に幸せを奪われた人間の恨みつ辛みを身をもって知っている。
だから、自分が悲しむほど、その悲しみから犯人を憎めば憎むほど、その憎しみは自分自身にも突き刺さる。
ヴァンは『自分が復讐を成したあと、吸血鬼に復讐される』という一見合理的な手段で、この問題に決着をつけようとしています。
でも彼は、加害者だけど、救われるべき被害者でもあるんですね。
ヴァン本人も、内心では救われて幸せになることを望んでいる。
でも、加害者でもあるヴァンが幸せになるってことは、極端に言っちゃえば犯人を許すということで、無残に殺された家族を蔑ろにすること。少なくとも彼はそう感じてしまっている。
だから復讐をとげたあと速やかに死ぬことで(ry)でも彼は被害者でもあり(ry)

話がループしたけど、そういう難しい状況でヴァンが苦しんで苦しみぬくのがヴァンルートです。

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結局のところ、彼は『幸せになりたい』という自分の気持ちをカルディアにすくいとってもらって、生きて罪を償って(生き残った吸血鬼の支援活動をして)幸せになることに決めた。
ありふれた陳腐な結論ではあるけど、そこを目指す理由について、重苦しい道を誠実に示してくれたのが素敵なシナリオだと思う。

 

 

 

 

 

サンルート

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いつもニコニコしてる紳士サンジェルマン(サン)のルート。
ルートに入ってすぐ、サンに軟禁されてすごいビビる。
こっわ。
こわ。
こわい。
怖い。

やめて。
なんとかカルディア先生が仲間と合流したときは、リアルに涙が出たね。俺の。
その状況でもサンの心配しちゃうカルディアさんの精神。オリハルコンですか?
本気で尊敬する。

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サンは、人類が絶滅しちゃわないように管理する組織イデアの一員。
イデアは、人類を滅ぼすかもしれないカルディアを排除すべき対象だと判断してる。
とうとうイデアにカルディアが狙われて、サンがイデアとカルディアの間で板挟みになる・・・というのがサンルート

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サンルートに登場するイデアの面々は、『個人のために犯した過ちで大多数を不幸にした』経験を持ってる。
彼らはその罪を贖うほか、世界がすこしでも良い方向に向かうように、納得して一を切り捨て十を助ける行動をしてるわけだけど、サンは実は納得していない。
サンはなんというか、なし崩し的にイデアに入っているから、他の面々と違って、イデアの活動をする強い動機がない。

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イデアの面々は大多数を守ることを大切に思っているわけだけど、サンは犠牲に切り捨てられる少数のことを大切に思っている。

サン自身もそういった『犠牲に切り捨てられた少数』だから、サンはカルディアに対して、自愛にも似た深い同情がある。
カルディアや仲間たちと過ごして、彼はようやく、自分がなにを大切だと思っているかを自覚して、カルディアを生き残らせるため、イデアに反旗を翻す。
カルディアとサンはエゴまるだしで、お互いに自分を犠牲に相手を助けようとするんだけど、最終的に上手い具合に噛み合って、問題が解決する。

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サンもカルディアもわりと自分の大切なことを無視している部分があるんだけど、最終的に二人が自分の気持ちに気づいて、そのために動いたことを嬉しく思えるルートだった。

 

 

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しかしなんというか、イデアという組織は個人的にめちゃくちゃ苦手ですね・・・。
少数を犠牲にして大多数を助けるわけだけど、時がたてばその大多数からまた少数を切り取って捨てるわけで、いったい何のための犠牲だったのか、その点はいつの間にか曖昧になっている。
自分が得するために切り捨ててると言われると納得できるんだけど、イデアの場合は自分のことも諦めてるっていうか、蔑ろにしてる。
トップであるオムニブス様やギネヴィアさんとかは、実は自分のためにイデアの活動してるからいいんだけど、それがサンみたいな動機のないヤツを巻き込むとすごい不気味に見えるんだよね。

 

 

 

 

 

 

インピールート

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チャラチャラしてるけど誠実一途な天才技師インピーさんのルート。
こいつはすごい奴ですね・・・。
コードリアライズの人って、みんな大なり小なり現状に不満を抱えてて、それにキレて行動を起こすんだけど、彼にはそれがない。
彼は、理不尽な現状に対して見境なくキレたりせず、全員の幸せを考えて動くことができるんですね。

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なんというか、もう精神が怒りや憎しみから解放されていて、ネガティブな感情は悲しみぐらいしかない。なんかもうあとは、夢とか愛とか優しさとかそういうのしか残ってない。
このルートはなんか、インピーに感銘を受けている間に終わっていたな・・・。
ただ彼は、精神技量ともに成熟しているが故に、他人が追いつけなくて孤独なところがあって、そこを偏見のないカルディアさんが埋める感じで恋愛が進みます。

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なんかこのルートはあれなんだよな、気持ちはすごいあるんだけど書こうとすると「インピー・・・(きゅん」みたいな話しか浮かんでこないみたいなとこあるな?
明るいお話が好きという人にもおすすめできるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルパンルート

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泥棒紳士ルパンルートにして、全ての話がまとまるトゥルーエンドルート。
ルパンはすごいヒーローじみたヤツですね。他人から求められる『泥棒紳士』というヒーロー像を自分の中に持っていて、それを必要なときに自在に出すことができる。

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けっこう大胆で俺様なところもあるんですが、それは人から望まれた時に察してそうするだけで、自分の悪意や欲望で動いたりしない。

トゥルーエンドの立役者にふさわしい人ですね。

 

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ルート自体は、カルディアや他キャラクターのお話も同時進行、決着をつけるので、わりと群像劇的なお話。
他ルートの良さを併せ持っているので、このルート単体の感想っていうと難しいですね。

 

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全てが報われるような大団円エンドで、締めくくりとしてふさわしいルートかな。
読後感が幸福なのはたいへんよろしいことだと思います。

 

 

自分のツボに合っていることもあって、どのルートも深く楽しめる物語でした。

登場人物たちの葛藤をよく伝えてくれるおかげで、かなり感情移入して読めたように思います。

祝福の未来も楽しめる内容だったので、白銀の奇跡が楽しみです。